くらしの「ひとくふう」

赤池プライムクラブ

2017/10/13更新

思いやりは、マニュアルで育つのではなく、心が育てるもの。

?老舗料亭若女将・伊藤善子さんの、おもてなし術とは?

 名古屋のいわゆるお屋敷街と呼ばれる旧武家屋敷エリアに、威風堂々と立派な門構えの料亭が佇んでいる。一見客では予約がとれないこと、政財界の方々が利用することなどで知られており、門の外からは中の様子が全くわからないため、一般人とは縁遠い世界なのかと思わずため息が。その老舗料亭に生まれ育ったものの、継ぐ気は全くないままアメリカ留学し、そのままNYのホテルに就職した伊藤善子さん。ところが実姉の急逝で事態は急転した。アメリカ生活とはなにもかも違う老舗料亭へ戻ることに、しかも両親と共に仕事をする環境へと転身することになった。そのご苦労は想像に易い。
 しかしながら現代は料亭には難しい時代でもある。食事だけでなく建物、しつらえ、おもてなし。日本文化の総合博物館のような場所である料亭を広く知ってもらい存続させるには課題も山積だろう。そこに伊藤さんの若女将としての裁量が発揮されている。老舗としての風格を保ちながらも、今の時代に合ったプランとひとくふうで同世代のゲストの心を掴んでいるからだ。

 「やっぱり料亭の大切な宝物はおもてなしの心なんです。新しいスタッフが入って、どう教育すればいいかと考えた時期もありましたが、今は考え方が変わってきて。というのは、お客様へのおもてなしは思いやりの気持ちですから、マニュアルを作っても、それで人が育つものではないのです。もしおもてなしができるスタッフを育てられるとしたら、それはマニュアルではなくて、心が自然に育てるものだと気付きました」お客様が思わず笑顔になるような、思いやりに溢れたおもてなしや、ちょっとしたひとくふう。伊藤さんの語りを聞いていたら、老舗料亭の存在に急に親しみが湧いてきた。

芸妓さんを呼んでお座敷遊びの体験会や、シャンパーニュを楽しむ夕べ、お座敷での様々なジャンルの音楽会や講演を開催されている。普段の料亭とは違った企画を立てているそう。どれも伊藤さんならではのアイデアで、当日は司会も務めるスーパー若女将。

伊藤 善子老舗料亭・若女将

名古屋のお屋敷街である白壁地区の老舗料亭 香楽の娘として生まれ、日本の伝統文化、料亭文化が生活圏にある環境で育つ。高校からアメリカに留学。ニューヨーク大学でビジネスマネジメント等を習得後、NYヒルトンに就職。帰国後は、家業である料亭の若女将として活躍。海外からの客人にも日本の文化を積極的に伝えている。

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